パン好きな皆さん!ご存知ですか?アバンセには、ミナモア店をはじめ各店に人気ベーカリーが曜日ごとに入荷します。アバンセのバイヤーや店長たちが選りすぐったベーカリーばかりです。各店のパンのコーナーに、スケジュールを掲示していますので、ご注目ください。

今日はその人気のベーカリーの中から、「ル・サンク」を紹介します。ミナモア店には、毎週日曜日に入ってきます。
「ル・サンク」の工房は、広島市内から、車で2時間ほどのところにあります。とっても素敵なご夫婦が作っている、お腹も心も満腹になるパンです。ぜひ最後まで読んでいただけると、うれしいです。
「ル・サンク」の意味
ベーカリーは、庄原市の総領町五箇という里山にあります。この「五箇」が店名の由来です。フランス語で「五」のことを「サンク」と言い、英語でいうと「The 5(ファイブ)」です。それだけ、この地域に思い入れがあるのです。オーナーは、長谷川一成さんと孝子さんご夫妻。とっても素敵なお2人。

ル・サンクといえば、広島の自家製天然酵母の石窯焼きパンの先駆けです。皆さんは、天然酵母の中にも、「自家製」と「市販の天然酵母」があることをご存知ですか? 家で手軽にパンを作るときは、(インスタント)ドライイーストという顆粒状になったものを使う方が多いと思います。
このル・サンクは、オーガニックレーズンを発酵させたフルーツ酵母など自家製天然酵母を使っています。

レーズンは、オーガニックのオイルコーティングを施していないものを使います。レーズンは、ご存知の通り、ブドウを乾燥させたものです。私たちの目には見えませんが、ブドウの表面には、野生の酵母菌がいて、水の中でレーズンの糖分を食べ、分解しながら増殖していきます。
そのとき、炭酸ガスを発生させるので、ビンを開けると・・・ワインのような!? ふわりとアルコールの香りがします。これがしっかり酵母が働いてくれている証し。

ただこのフルーツ酵母だけの力では、発酵力が弱く、パンが膨らまない原因になってしまうので、初種(パン生地の一部)を使います。しかしパン種を使うことで、発酵力は増す反面、最初のフルーツ酵母の乳酸菌も力を増すので、酸味が強く感じられるようになります。

最初は酸っぱいのは嫌っていう方もいらっしゃったんだけど、慣れちゃうと、それが美味しいって言ってくださるお客様もいらっしゃるんですよ。



分かります!むしろ、その酸味がチーズに合わせやすいと思います。
ヨーロッパでは、パンが主食に当たります。日本は、菓子パンや惣菜パンがたくさんあるので、「パンだけ」で食事を完結する人も多いですよね。でもル・サンクのパンのような食事に向くパンは、パンだけを味わうのでなく、チーズやハム、そして野菜のおかずを添えてお召し上がりください(*^-^*) 一緒に食べてはじめて、ここのパンのうま味が感じられると思いますよ。




石窯でパンを焼く
酵母のお話を聞いている途中で、あ!パンが焼けました!!


石窯は、オーブンのように、温度や時間がコントロールできるわけではありません。うっかりすると、パンが焦げてしまいます💦
さらに石窯は、予熱に時間がかかります。長谷川さんは、毎朝、5時間かけて予熱をします。予熱の方法は、薪をくべて、5時間焚き続けます。窯が十分熱くなったら火を消します。予熱には時間がかかりますが、火を消してもすぐに温度は下がりません。パンはこの余熱で焼くのです。窯に入れたら、約20分でパンが焼きあがるそうです。
温度はもう、長年の経験と言いましょうか。手をかざしただけで、温度が分かってしまうそうです。
長谷川さん;この窯はね、煙突がないでしょ。だから真ん中に置くと、パンが真っ黒に焦げちゃうんだよ。真ん中を避けて、両端に置くんだけれども・・・それでも温度が高いときは、この紙をかぶせるんだ。(写真の中、赤い矢印に注目)





え?でも紙を入れたら、それが焦げてしまうような気がするのですが💦



いいや。それが紙は焼けないんだよ。火は止まってるからね
と、なんだか不思議な感じもしますが、パンに使っている国産小麦粉が入っていた袋がパンの焦げを防いでくれるのだそうです。




型から外すと、パンからかすかにパチパチっという音がします。この音が好き!という方も多いはず。


ちなみにクロワッサンなど小型のパンは、工房内にある電気オーブンで焼成します。すごく優しい味わいのクロワッサン。これも野菜をたっぷりサンドして食べたくなります。


店舗で焼き立てを味わう
パンは、基本的には定期配送や購入の契約をしているお客様用に焼いています。アバンセもその1つ。広島市内で定期的に入ってくるのは、アバンセだけです!
予約販売用を取り置いたあと、生地の分量の関係で少し余分ができるので、店頭で販売しています。焼きたてのル・サンクのパンが食べられるなんて、ラッキーです☆午後に来て、全部買い占めて帰るお客様もいらっしゃるようなので💦早いもの勝ちです。




長谷川一成さんは、福山市神辺町出身。取材で伺った当日も、神辺から同級生が遊びに来ていました。昔からパンが好きで、街を歩いていてパンの匂いがすると、ふらりと入ってパンを買っては食べていたそうです。横浜の大学を出た後、東京で就職。12年勤めた後に転職。東京 富ヶ谷の「ルヴァン」(天然酵母パンの草分け的存在)で7年半、パン作りを学びました。石窯で美味しいパンが焼けるところ・・・そんな環境を求めて、現在の庄原市に移住したのは、1998年のことでした。移住したばかりのころの「広島県定住促進センター」のポスターが今でも店内に飾ってあります。石窯の前でご家族が並んだ、とっても素敵なポスターなので、ぜひご覧になってください。
ちなみに、最初は石窯も手作りしましたが、始動すると色々と不備が見つかって、その1号窯は今はありません。その後を継いだ2号窯がガンバってくれています。


作業の合間で、石窯にくべる薪を割ります。ル・サンクのパン作りは、薪割りから始まる!と言っても過言ではありません☆美味しいパンの材料は、粉や水だけではないのだ、ということに気づかされました。


一通り、お話を聞いたあと、ちょっぴり昭和レトロな店内で、パンを購入。人気があるのは、レーズン、くるみ、イチジクが入ったパンです。カンパーニュは、月に1回しか焼きません。アバンセでカンパーニュを見かけたら、絶対「買い」です☆




アバンセ 出店ベーカリー その他の人気店
最後に「ル・サンク」の他にも人気のベーカリーが多数ありますので!ここでは簡単にご紹介したいと思います。
ALOFT アロフト
広島市内、呉市に8店舗、日本の暮らしに寄り添ってくれる「アロフト」のパン。中でもアバンセの店内で挽きたて販売をしている「ピーナッツバター」をサンドしたオリジナルブレッドは、アバンセでしか手に入りません。ピーナッツバタースプレッドをちょっと懐かしく思うのは、昭和世代⁉


おへそベーカリー
世羅町にある人気のベーカリー。少し先に世羅の野菜がのった大きなピザやパエリアを提供する古民家カフェ(おへそカフェ)もあります。


ベーカリープチ
アバンセ古江店の店内で作りたて、焼きたてを販売している「ベーカリープチ」、1978年生まれのアバンセの先輩です(アバンセは1988年生まれ)。




まだまだご紹介したいベーカリーがたくさんあります!そして、手に入るときにまとめ買いをすることもありますよね?次回は上手なパンの保存方法についても紹介します。お楽しみに。