\\フードプロデューサー育成講座 第2期生 11月より募集開始//

広島県北東部庄原市で活躍する3人のジビエハンター

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10年先もずっと食の仕事に携わっていきたい料理家さんやフードコーディネーターのための「フードビジネス実践講座」、第一回目が終了しました。農家さんや食スポットに赴いて、実際に受講生が書いたレポート記事をお届けします。今回は、食にまつわるお話を得意とする食の講師、大西真由美さんが書いた記事です。

食にまつわるお話を得意とする食の講師、大西真由美です。

今回私は、中国地方のほぼ中央に位置し、東は岡山県、北は島根県・鳥取県に隣接する県境のまち庄原市で2つの集落を訪問し、庄原市のジビエについて3名の方を取材しました。

Check !!
  • 庄原市のジビエについて知りたい
  • ジビエハンターに興味がある
  • 里山とジビエの関係性を知りたい


という方にピッタリな内容です。
ぜひご覧ください。

じわじわと愛され続けて25年のフードプロデューサー。10年先もずっと、食の仕事に携わっていきたい料理家さん、フードコーディネーターのための「フードビジネス実践講座」を開講中です。第1期生の概要、カリキュラム

目次

近年話題のジビエとは?

ジビエと聞いて何を思い浮かべますか? おしゃれなお皿にちょこんとのっかった鹿肉のロースト、いのししの肉を使った真冬のぼたん鍋、どれも大変おいしいですが、その背景まで考えて食べることはないのではないでしょうか?
ジビエとはフランス語で食材となる野生鳥獣肉を指します。昨今、日本では、シカやイノシシによる農作物被害が大きな問題となっており、捕獲が進められるとともに、健康志向も影響してジビエとしての利用も全国的に広まってきています。
(農林水産省HP参考)

日本のジビエの狩猟期と現状

本来狩猟には時期があり、日本では11月15日~2月15日と解禁日が決まっています。それ以外は猟をすることはできません。今回訪問した庄原市も同じで、狩猟期以外は趣味での猟はしてはいけないそうです。ただし例外があり、農作物に被害が出ると庄原市から有害獣駆除の依頼がきて、駆除班が狩猟期外でも活動するのがこのあたりの猟のやり方です。
今回取材したハンターから「主な被害は稲、田んぼ1つが全滅する時もある。イノシシの場合、昔は人山に出てくることはなかったし、鹿においては10年くらい前はいなかった」と聞きました。各ニュース他で報道されているように、被害拡大の背景には、山の中の餌が少なくなった、温暖化で生息域が広がったことなどが関連しているのでしょう。

庄原市で活躍する3人のジビエハンター

庄原市で活動する3人のジビエハンターの方のもとに向かい、さまざまなお話を聞きました。

半農半猟の宮本雅幸さん

初めに会ったのは、庄原土耕ねぎの生産者でハンターでもある宮本雅幸さんです。ネギを生産しながら地域のために狩猟免許を取得し、有害獣であるイノシシを駆除し処理された肉を買い戻し販売もされています。宮本さんの店舗「〼田屋」の主な商品は庄原土耕ネギとそのネギを使用したネギキムチ、ネギのグリーンソース、その横でイノシシの肉も各種取り扱っています。


「〼田屋」でイノシシ肉が販売されるまでを聞くと、まず、イノシシが箱ワナにかかると、仕留めた後すぐにジビエの加工施設に搬入できるように施設へ電話をかけます。電話で依頼を受けた施設からは冷凍車が送られ箱ワナ近くで待機します。仕留められたイノシシはすぐに引き取られ。宮本さんは後日、施設で加工され個体番号がついたものを買い戻します。このような段階を得て、宮本さんは自身で仕留めたジビエ肉を販売しています。

お米の生産者でハンターの永奥啓さん

次に会ったのは農事組合法人ファーム永田の組合長で米の生産者でもありハンターの永奥啓さん。永奥さんには山の中に仕掛けてある箱ワナを見せてもらいました。


私達取材班は箱ワナにもしイノシシがいたらとドキドキしながら後について行きましたが、今回はワナにかかっていませんでした。箱ワナがある場所につくとワナについて永奥さんから説明を受けました。なんと、この集落では5人の捕獲班が活動しているそうです。


永奥さんの説明後、ワナの仕組みを実際確認し、周りにはおびき寄せるためのエサがまかれてありました。今回見学したワナは、箱ワナと脚をひっかけるワナの2種類で仕掛け方も違います。脚をひっかけるワナは枯れ葉などで隠し、イノシシの通り道に仕掛けます。取材するまでワナを置くためには許可がいることも知りませんでした。イノシシを捕まえようとして勝手に檻を置いたりするのは違反なのだそうです。そして、イノシシがワナにかかるようにエサをまきに行く作業は「手間のかかる仕事だ」と言われていました。

レストラン一柿オーナーシェフでジビエハンターの三河功治さん

その日最後に訪ねたのは、レストランオーナーシェフでジビエハンターの三河さん。訪問したのは、夕陽が沈みかけた夕方近くでした。山で会ったときの三河さんはハンターキャップをかぶっていましたが、お店に入るとイノシシの皮から作ったエプロンを身に着けた三河シェフが料理の準備をしていました。

三河シェフの料理はフルコースの創作料理。和の要素も洋の要素も入っており芸術的でオリジナル。すべて紹介したいのですが今回は庄原市のジビエについてのレポートに集中したいので心に残ったジビエ料理を紹介します。


1品目から細部にこだわったジビエ料理で器は柿。中国料理の干し肉料理(ラーロウ)のようなイノシシの干し肉と干し柿、アラマンサスがあしらわれていました。


そして肉じゃがは、イノシシとタマネギを煮込んでジャガイモはピューレ状になっていました。素人では発想できない初めてのジビエ肉じゃがでした。

食べた料理の中に、三河シェフの思いが詰まっているのを強く感じました。日本で有害獣として駆除されたものの90%は捨てられるそうです。有害駆除班で活動もされている三河シェフだからこそ、亡くした命を大切にいただくことに全力を注ぐのだと提供の際のシェフの一言一言のメニュー説明からその思いを感じました。三河シェフのジビエへの思いは、自然と人間の共生です。庄原の地は昔から狩猟文化の伝統があり、近年の鳥獣対策の一環としての食肉利用といった新たな価値が芽吹いているとレストランのパンフレットには綴られていました。

最後に

山から食卓までジビエハンターの3人の方を通して感じたのは、自然と人間の共存関係が昔より難しくなってきていること。庄原市に限らず街中にイノシシが出たり、人里に熊が頻出したりなど、農作物の被害にとどまらず、けが人が出るニュースを耳にすることも多くなってきているように思います。共存の良好な関係が少しでも保てるように、今回の3人のハンター達は地域のために今日も奮闘されているかもしれません。

「フードビジネス実践講座」次回は、10月~の第2期生を募集します。(8月以降募集開始予定)

弊社では新商品の企画開発や販促物の制作、ブランド作りに携わっています。お気軽にお問い合わせください。

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