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【大人の遠足】チャーター船で行く大崎上島・ファームスズキ|塩田跡が生んだ”日本唯一”の牡蠣・車海老・アサリの世界 🚢

ファームスズキ
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広島市営桟橋からチャーター船に乗り込み、瀬戸内海の島々を眺めながら向かった先は、広島県大崎上島。今回の「大人の遠足」の目的地は、日本で唯一、塩田跡地で牡蠣と車海老の複合陸上養殖を営むファームスズキさんです 🌊 「ひろしま食の手帖2026」にも掲載されています♪

到着してまず目に飛び込んでくるのは、10万㎡にもおよぶ広大な養殖池。「池」といっても、水面がどこまでも広がっているので、まるで「海」のよう!ここが、世界中の食通やトップシェフたちを魅了する食材の生まれる場所!そんな場所が広島県にあるなんて、誇らしくなります。


目次

ファームスズキとは?――塩田跡地から世界へ挑む養殖場

ファームスズキは、代表の鈴木隆さんが2011年に大崎上島の塩田跡地と出合ったところから始まりました。2015年に株式会社として設立、現在は生食用牡蠣「クレールオイスター(塩田熟成牡蠣)」、車海老、アサリの複合養殖を行っています。

この場所はもともと江戸時代から昭和にかけて塩を生産していた塩田で、その後、車海老の養殖場として使われていた歴史があります。全盛期には50〜60トンもの車海老がここで養殖されていましたが、1994年に廃業。それから長い眠りについていた池に、鈴木さんが新たな命を吹き込んだのです。


「クレールオイスター」――日本の常識を覆す牡蠣養殖 🦪

一般的な広島牡蠣との決定的な違い

広島といえば牡蠣の生産量日本一。しかし、その大半は「筏(いかだ)式垂下法」と呼ばれる養殖法で育てられています。ホタテの殻に牡蠣の種を付け、殻と管を交互にロープに通したものを筏に吊るして育てます。戦後以降に普及した養殖法で、漁場を立体的に使えるため、生産量が飛躍的に増加しました。高密度で牡蠣を育てるこの方法は、大量のむき身を効率よく生産するには最適です。ただ、牡蠣同士がくっつき合って殻の形がいびつになりやすく、身入りにもばらつきが出てしまいます。日本の市場ではむき身が主流なので問題にはなりませんが、欧米のように殻付き・生食が当たり前の市場では、一粒一粒の品質が問われるんですね。

ファームスズキが採用しているのは、フランス式のシングルシード(一粒一粒育てるの意)養殖法です。広島県栽培漁業センターで人口採苗した三倍体牡蠣(※)の稚貝を1~1.5㎜のサイズまで水槽で育てます。ここでは約2週間で、6~7㎜に育ちます。それをフランス式の「SEADUCER」が開発した養殖装置(バスケット式)で短期間に高品質な牡蠣に育てます。

(※三倍体牡蠣・・・産卵をしない牡蠣のこと。一般的な牡蠣は、産卵によって身が細ってしまうため、出荷できる時期が限られてしまいます。そこで広島県で、産卵をしない牡蠣が開発されました。)

牡蠣が入っているバスケット 時間ごとに水中に浸かったり、水上にあがったりを繰り返す

この装置は、インターネットでフランスの会社ともつながっていて、常に池の状態や水質データが確認できますバスケットは、1日最大50回、上げ下げできます。大気中と水中とを行ったり来たりさせることで、殻や貝柱は厚く、夏場の高水温にも強くなり、成長スピードが加速します。

働く人にとっても優しく(重労働は機械にお任せ)、人の仕事は池の水を年に1回は抜いて、耕転してバクテリアを蒔き、常に牡蠣のエサとなる植物プランクトン繁殖できる環境作りをすることです。このような環境にも人にも優しい持続可能な養殖方法が評価され、県内の牡蠣養殖場としては初の「ASC国際認証」を取得しています。


牡蠣を専用のバスケットに入れ、適切な密度を保ちながら育てることで、殻の形が整い、身入りも安定します。フランスでは塩田跡地の養殖池を「クレール」と呼び、そこで熟成させた牡蠣は最高級品として知られていますが、ファームスズキはまさにその手法を日本で唯一実践しているのです ✨

製法から味わいまで!世界基準を満たす「クレールオイスター」を堪能

実際に口にしたクレールオイスターは、一般的な広島牡蠣とはまるで別物!と多くの方が言います。特に広島の牡蠣は、「牡蠣フライ」にするとおいしい内臓部分が大きなタイプが主流です。広島県民は、生牡蠣を避ける人が多いのです。

でも、ファームスズキに来たら、まずは生牡蠣! 小ぶりながら、口に含んだ瞬間に広がるミネラル感と凝縮された旨味。欧米のレストランやバーでは、生牡蠣をいくつも食べる・・・という人が珍しくありません。広島・・・いえ日本の一般的な牡蠣で想像すると、「そんなに、いくつも食べられないよ~」と思うところですが、ここの牡蠣を食べれば納得。

ここでは、世界中で好まれている高品質な生牡蠣をたっぷりと、味わうことができました。


塩田育ちの車海老――”放し飼い”が生む天然以上の味わい

通常の養殖との密度の違いに注目

ファームスズキのもうひとつの主力が車海老です。一般的な車海老の養殖では、1㎡あたり稚海老を20〜30尾投入するのが標準で、多いところでは50〜100尾にもなります。しかし、ファームスズキが採用している密度は1㎡あたりわずか7〜8尾。通常の5分の1以下という低密度での飼育なんです。

水揚げ量は当然少なくなりますが、広大な塩田跡の池でのびのびと育った車海老は、身のしまり方がまるで違います。砂の中に半分潜って生息する車海老にとって、この広い養殖池はまさに理想の環境。ストレスの少ない状態で育つため、天然に近い色つやと肉の付き方になるそうです。前述の牡蠣養殖のバスケットの下で、海老が育っています。

車海老と牡蠣の「循環型養殖」

とても興味深いのが、車海老と牡蠣を池で育てる複合養殖の仕組みです。車海老に与える配合飼料(魚粉やイカミールなど)が池の養分となり、バクテリアによって分解されます。そこから植物プランクトンが繁殖し、それを牡蠣が食べて育つ。つまり、車海老のエサが巡り巡って牡蠣やアサリを太らせるという、見事な生態系の循環ができあがっているのです。

この日いただいた車海老は、殻を剥いた瞬間にぷりっとした弾力が指先に伝わってきました。甘みが濃厚で、口の中でほどけるような上品な食感。高密度で養殖された一般的な車海老と比べると、身の締まりと甘みの深さが格段に際立っていました 🤤


衝撃体験――生のアサリを初めて食べました

アサリの養殖にも取り組むファームスズキ

ファームスズキでは牡蠣と車海老だけでなく、アサリの養殖にも取り組んでいます。もともとこの塩田跡の池にはアサリが自然に繁殖しており、全国的にアサリの生産量が減少する中、稚貝の生産を手がけるようになったそうです。

遠足当日はアサリも堪能することができました!

車海老のエサが分解されて生まれる豊富な植物プランクトンを食べて育つアサリは、まさに塩田の生態系の恩恵を受けた存在です。懐かしい!「潮干狩り」を楽しむ人も。ちなみに、潮干狩りは日本ならでは!海外では見られないことだそうですよ。

「アサリは火を通して食べるもの」という固定観念が崩れました

そして、この日最大の驚きが待っていました。なんと、生のアサリをいただいたのです。

アサリといえば味噌汁、酒蒸し、ボンゴレ——いずれも加熱調理が前提の食材というイメージが強いですよね。海外では生で食べるとは聞いていたものの、自分が口にしたのは人生で初めてでした。

みんなのために、せっせと殻を剥いてくれた鈴木さん。ぷっくりとした身が現れます。恐る恐る口に運んだ瞬間、まず感じたのは驚くほどの甘み。そして貝特有の旨味がじわっと広がり、後から潮の香りがふわっと鼻に抜けていきます。加熱したアサリのあの強い磯の風味とはまったく異なる、繊細で上品な味わいでした 😭✨ 参加者の皆さんも「超絶美味しい!」と大盛り上がり。中には、「牡蠣より美味しい!」と感動していた方も。

食の専門家として数多くの食材と向き合ってきましたが、「生のアサリ」はまさに新しい扉を開いてくれた体験です。これが成り立つのは、塩田跡の清浄な水で育てられた安全な環境があってこそ。一般の天然アサリでは、こうした生食はなかなか実現しません。

チャーター船で行く「大人の遠足」の魅力

今回の遠足は、広島市営桟橋からチャーター船で大崎上島へ向かうという特別なルートでした。瀬戸内海の穏やかな海を船で渡りながら、点在する島々の景色を楽しめるのは、まさに「大人の遠足」ならではのぜいたくです。

通常、大崎上島へは竹原港(又は安芸津港)からフェリーを使います。チャーター船で広島市内から直接向かうルートは、移動時間が短縮できて、飲みたい人は思いっきり飲める!(笑)という魅力がありました。
瀬戸内の「軍艦島」と呼ばれる契島や呉湾に浮かぶ艦船の説明もあり、めったに見られないという、複数の潜水艦の全貌を間近で見ることができました。正直、私は全然詳しくないのですが💦たぶん、お好きな方には、シビれるような光景だっただろうと思います。


まとめ――ファームスズキが示す「日本の養殖」の未来

ファームスズキの取り組みは、日本の水産養殖の常識を変えるものだと感じました。同じ池の中で生態系を形成する循環型養殖。実は今、深刻な問題になっている牡蠣のへい死ですが、ファームスズキのように養殖池で、海水を入れない状態を保っていると、へい死は起こっていないのだそう。

鈴木さんは、シアトルのテイラー・シェルフィッシュ・ファームズで学んだ「生産者自らが販売する」というビジネスモデルも含め、これまで日本の養殖業界が見てこなかった方向に挑戦し続けています。

生のアサリという未知の食体験も含め、この「大人の遠足」は、新たな食の価値観を見出すきっかけになりました。牡蠣や海老の養殖のことだけでなく、海や島の環境、働く人の環境にも目を向け、その仕組みを作っているファームスズキさん、とても素敵でした。

ファームスズキには、美味しい牡蠣や海老を食べる、だけを目的にせず、養殖場の見学もぜひ、お願いしてみてください。牡蠣養殖の装置など、丁寧に説明もしてくださいますよ。


ファームスズキ(FARM SUZUKI)

  • 📍 所在地:広島県豊田郡大崎上島町東野垂水37-2
  • 🌐 公式サイト:https://www.farmsuzuki.jp/
  • 🛒 オンラインストア:https://shop.farmsuzuki.jp/
  • 🍽️ FARMER’s KITCHEN(イートインスペース):※10名以上の団体予約制です。フラ~ッと寄っても食事はできません。
ファームスズキ

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