ご当地食材、ご当地ごはんが大好きなフードプロデューサー、平山友美です。
どこを旅しても、誰もが行く観光スポットよりも道の駅やご当地スーパーに足が向いてしまいます。そして、レストランを選ぶなら、その土地の食材を知り尽くすシェフのお店!「知る喜び」がおいしさに変わる、その瞬間が好きです。
今回は淡路島の地元民御用達のお店を紹介します。
☆「淡路島の人気グルメスポット巡り」もどうぞお楽しみください。

淡路島に来たら、やっぱり魚介は外せません。島内には、20以上の漁港があります。
中でも競り見学ができるという由良漁港を訪ねたときに、仲買人の山口さんがおすすめしてくれたのが「エピスパ(ÉPiSPa)」。地元の人がおすすめする店だから、間違いないですね!早速、エピスパのレポートです。
淡路島の地元で人気のランチ店~エピスパ(ÉPiSPa)

エピスパ(ÉPiSPa)は、淡路島の洲本市物部にあるカフェ&レストラン&バーです。淡路島の食材を使った世界各国の料理が楽しめるというユニークなお店。
店名の「ÉPiSPa」は、フランス語でスパイスを意味する「Épice」エピスと、英語のスパイス「Spice」を合わせた造語で、鷲田晃大シェフの「スパイスやハーブを、料理や生活に自然に取り入れたい」という気持ちがこもっています。

現在の場所に移転したのは、2024年9月のこと。
それまで、同市の千草という山里で、世界各国の料理が月替わりで楽しめる「herb&spice restaurant ÉPiSPa」をしていましたが、もっと多くの人との出逢いの場にしたいと、店名も新たにしました。題して「multicurtural restaurant ÉPiSPa」!
世界各国の料理…の中には、タイなどアジア諸国、中東諸国の料理もありますが、どれも日本人が親しみやすい味に仕上げてくれます。
淡路島で世界の料理~今日のランチは?
「ÉPiSPa」では、いつも旬の淡路島産食材を使って、いろいろな国の料理を提供しています。
3月初旬、まだ肌寒い頃でしたが、由良漁港にはたくさんの魚介が水揚げされていました。何を使った、どこのお料理が出てくるのかな?春の野菜は何が出てくるかな?と、とても楽しみです。
最初に出てきたのは、ポタージュでした。
淡路島産かぼちゃのポタージュ 簡単に見えて実は・・・

かぼちゃは「くりほまれ」という品種を使ったもの。淡路島の玉ねぎでしっかり甘みを出してから、カルダモンで香りづけしてあります。そして、ポイントはスパイスです。鷲田シェフがブレンドした「ザアタル(ザータル)」がかかっていました。
ザアタル:アラビア語で「タイム」のこと、その名の通り、タイムをメインに、レモングラス、コリアンダー、セイボリー、胡麻、スマック(漆の実)をミックスしたハーブです。エジプト、アラブ、中東諸国では一般的だそう。
ウマヅラハギのカルパッチョ
「なるとオレンジ」の皮のコンフィチュールにして、それをベースにしたドレッシングで和えたもの。なるとオレンジの実、黄柚子、文旦と一緒に和え、花穂しそを散らしてありました。

なるとオレンジ:300年前に発見されてから現在に至るまで改良されていない、「原種」に近い珍しい純日本産のオレンジ。香りと酸味が強めのみかんで、ほのかな苦みもあります。
ほんのり苦みのある皮が特徴です。
https://www.hyogo-tourism.jp/review/342
全粒粉のパンに「ザアタル」バターで
バターにも鷲田シェフがブレンドした「ザアタル」がかかっていました。

本場では、このようにバターのうえにザアタルがかかっていることはないそうですが、とっても美味しかった!ザアタルファンになりました♡
もち麦リゾット
淡路島で獲れたメバルやカサゴなど魚介でとった出汁「スープドポワソン」と淡路島のトマトで炊いたもち麦リゾットに、獲れたてのヒイカをのせ、クミンパウダーがふりかけてあります。

ちなみに、淡路島はもち麦の産地なんですよ。食感がおもしろいリゾットでした。家でも作ってみたい!

ヒイカ:体長12センチ前後、重さは50グラムほどの小型のイカで、透明感のある体色と体全体に散らばっている茶褐色の斑紋が特徴的。褐色で透明感のあるものが新鮮な証拠。身は柔らかく甘みたっぷり。小さいので丸ごと食べることができます。
https://tsurihack.com/1564
https://tsurihack.com/1564/3
真鯛のポアレ ムケッカ風
ムケッカは、ブラジルの中でも北部地方の煮込み料理の総称。煮込み料理でありながら水は使わず、シーフードと野菜と油だけで煮るという料理だそう。

カレーのようにも見えますが、スパイスはアクセントでなく、ごく自然に使ってあるので、優しい味わい。新鮮な白身魚にスパイスを使うには、こういう「さり気なく」がポイントなのかも。
「ドアドア」はランチの後のお楽しみ
このエピスパがあるのは、「DoA DooR(ドアドア)」という商業施設。
美・食・健康をテーマにしていて、オーガニック食材店「kaelu Organic Mart」や個性的なスパイスショップ「ぱらりと」、自家焙煎珈琲「Cota:Cota;COFFEE」のほか、洋服、アクセサリー、腸もみサロンなどのお店が入っていました。




この「ぱらりと」ってお店、気になりません!?
本当はオリジナルという「五香粉」やチャイミックス、ガラムマサラも気になった…クコの実などの薬膳食材も置いてありました。好きな人は、質問してみても楽しいと思う!
五香粉とは:主に中国料理で使われる混合スパイス。使用するスパイスは必ずしも5種類というわけではなく、一般的にスターアニス(八角茴香)、山椒、花椒(ホアジャオ)、シナモン、クローブ、フェンネルの種などがよく用いられる。独特の香りがあり、香りづけや材料の臭み消しに幅広く使われている。
https://www.h-spice.jp/dictionary/spicelist/s_ushanfen.html
私は、ここでChaiを飲んでみたくて…

淡路島の地元に愛されるレストラン~エピスパ(ÉPiSPa)での気づき

世界のいろいろな料理…と聞いていたけど、決して、スパイシーで変わった料理を出すということではありませんでした。
むしろ、スパイスやハーブに対する誤解があったように思います。
どう誤解していたかというと、スパイスやハーブは、肉や魚の「臭み消し」という固定概念です。

淡路島の由良漁港には、多種多様な魚介が揚がってきますが、すべて天然の魚介でした。私が伊勢エビやアナゴなど、見るたびに「これは養殖?」と聞くので、案内人の山口さんに何度も叱られました(笑)そして、野菜もまた、ほとんどが露地栽培で、ハウス栽培をしている農家は極端に少ないのだそうです。
つまり、レタスの時期にはレタスばかり。どこに行っても、同じ野菜ばかりになる、というのは、シェフからすると、困ることもあるそうですが、言い換えれば、「淡路島産です」と言われたら、それが「旬のもの」ということなんですよね。
鮮度の良い、旬の野菜や魚介の味わいを良くするためのスパイス&ハーブ使い、これこそ、鷲田シェフだから成せる技なのかもしれません。
兵庫県洲本市物部3丁目6−13 Marusho Marche DoA Door 内
