\\ローカル限定!食ネタを発信中//

【魚の流通豆知識】淡路島観光スポットのルーキー!? 由良漁港でせり見学

  • URLをコピーしました!

淡路島といえば、瀬戸内海で一番大きい島。島内には、小さな漁港が島をぐるりと囲むように数多く点在しています。漁港巡りだけで何日も過ごせてしまいそう!?そんな漁港の一つ、洲本にある由良漁港で、せり見学ができると聞いて行ってみました。

目次

「市場でせり見学」プロローグ

「市場でせり見学」と聞いて、どんな市場をイメージしますか?


私は、広島県広島市に住んでいます。職業柄、広島市にある中央卸売市場には、何度も訪れており、過去には「市場見学&模擬競り体験ツアー」を数回、企画開催した経験があります。福山市にある地方卸売市場にも行きました。出張先で市場を見る機会も多く、東京でも、築地場内を見学させてもらったことがありました。


豊洲に移ってからは、業者の方に案内してもらう機会が今のところないので、一般見学者として、ツアーに参加しました。ガラス越しにしか見られませんでしたが、まぐろのせり見学をしたことがあります。時間申込制で、参加したときは、私たち以外はすべて外国の人でした。

海外に行ったときも、フランスのパリ郊外にあるランジス市場を見学しました。ここは、世界最大の市場です。かなり、見ごたえありました。魚は、日本が一番でしょ、なんて思っていたら大間違い。日本が海外への輸出に苦労している理由も分かります。・・・まぁ、この話はまた別の機会に。

このように、市場はそれなりに知っているつもりでいましたが、今回、淡路島の由良漁港では、新しい気づきがありました! まずは、魚の流通のことを、少しだけ知っておきましょう。

魚の流通 市場のいろいろ

由良漁港を案内してくれるのは、淡路島水産の山口周三さん。「産地仲買人」という役割を担っています。

魚の流通は、他の食材と違う点があります。それは、卸売市場の中に、「産地市場」と「消費地市場」の2つが存在するという点です。

産地市場」は、その名の通り、産地に近い場所にあり、漁師さんが獲れた魚を持ってくる市場です。たくさん獲れるけれど、人口が少なく、その地域内だけでは消費できないため、山口さんのような産地仲買人(仲買業者)は、漁師さんが獲ってきた魚を買い付けて、取引先に発送します。取引先は、地域内外の飲食店やホテル・旅館のような施設、消費地にある豊洲など大規模市場である場合もあります。


一方、私がこれまで見学していた市場は、「消費地市場」にあたります。広島市のように、中央卸売市場があるのは、全国に64ヵ所(20都市)。人口が20万人以上の都市に開設されています。ここには、全国の産地市場、海外からも魚が集まってきます。養殖魚を活かしておく水槽もあります。中央卸売市場では、「荷受け」と呼ばれる会社が市場に入って来る魚を受け取り、せりを行います。

魚は、天然資源なので、天候や海の状況にも左右されます。計画的に漁獲することは難しいうえ、同じ魚でも大きさはもちろん、鮮度や漁獲方法などによっても値段が変わります。もたもたしていると、それだけで鮮度が落ちてしまうので、出荷までの時間制約も厳しいのです。さらに、全国で考えると、かなり多くの漁港があり、多種多様な魚介が水揚げされます。

たくさんの魚を漁師さん自身が売買して、分荷、出荷の作業をやるのはムリですし、産地によって大きな価格差が生じる可能性も出てきます。そこで、卸売市場が大事な役割を担うのです。


卸売市場は、市場法などの法律によって守られています。ここでは公正な取引が行われ、価格の相場も全国で共有されます。漁師さんもこの仕組みがあるから、安心して漁に専念できるのです。

せり見学

由良漁港のせりは、11時30分に始まります。
早朝から漁に出ていた船が魚をたくさん獲って港に戻って来て、ある程度の仕分けをしてからのスタートだからです。(←広島の中央卸売市場では、近海の魚のせりは朝6時30分スタートです☆)

水揚げされた魚を魚種、大きさごとに仕分けをします。

せり場は、3つのブロックに分かれていて、それぞれの台の上に漁師さんがどんどん魚を運んできます。

太刀魚、穴子、車えび、伊勢えび、ハゲ、メバルに鯛・・・と、魚種は実にさまざま!

傍から見ているには、ずいぶん、和やかな雰囲気。専門用語ばかりが飛び交うこともありません。

でも山口さんは、しっかり魚の良し悪しを見極めていきます。

手に持った「かまぼこ板」と呼ぶ専用の板に、チョークで数字を書き込みます。せりにおけるルールは、漁協によっても違います。ここでは、仲買人が3つの数字を書き込み、窓口に投げ込むようにして札を出すと、複数投込まれた中で、最も高い金額を書いた人が落札するという仕組みです。

こちらが札を投げ込む窓口。漁協の方が確認します。

仲買人は山口さん1人ではありません。素人目には、分からないけれど、「おぉっ!」と思う魚が出てくると、複数の仲買人が寄ってきて、とろ箱を持ち上げてみたり、魚を少し触ってみたりして、値決めしているようでした。

次々と台の上に並べられては、また運ばれてゆく・・・ それにしても、山口さんは、自分がいくらくらい買ったのか、把握できているのでしょうか!? それに、買ったつもりでいたけど、落札できてなかったみたいなことは起こらないんでしょうか!? ・・・と、謎は残りますが(笑)、楽しく見学を終えることができました。

このせり落とされた魚がどこで、どんな料理になって提供されるのか、それも気になるところです。
淡路島観光の新しいお楽しみスポットと言えるかもしれませんね。

でもこうしたせり見学は、食べ手の観光スポットだけに留めておくのはもったいない!
個人的には、料理人さんに来てもらいたいと思いました。料理人がこうした魚の流通事情を学び、山口さんのような仲買人の方との信頼関係を築いた上で、自分の料理に仕立てる、そうすることで、食べ手である私たちは、安心して美味しいものを楽しむことに専念できます(*^^)v

この由良漁港の魚を味わえるお店の一つが「エピスパ」です。こちらの記事もぜひお楽しみください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次