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日本一の油揚げ王国福井!行列のできる「谷口屋の、おあげ」

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10年先もずっと食の仕事に携わっていきたい料理家さんやフードコーディネーターのための「フードビジネス実践講座」、第一回目が終了しました。農家さんや食スポットに赴いて、実際に受講生が書いたレポート記事をお届けします。今回は、福井県でフードビジネスコーディネーターとして活動する、石倉さんが担当したインタビュー記事です。

皆さん、こんにちは!フードビジネスコーディネーターの石倉怜菜です。

油揚げの消費金額、福井県が61年間連続で日本一ということを皆さんは知っていますか?スーパーマーケットには何段もの油揚げコーナーがあり、各家庭の冷蔵庫には必ず常備されていると言われるほど福井県民に愛される油揚げ。

今回は、そんな福井の油揚げ文化が誕生した歴史やぶ厚いお揚げができるまでについて、坂井市丸岡町上竹田で工場とレストランを構える「谷口屋」さんへお話を伺ってきました。

Check !!
  • 谷口屋について知りたい
  • 福井の揚げの原点について知りたい
  • 福井の食文化に興味がある

という方にピッタリな内容です。


ぜひご覧ください。

「フードビジネス実践講座」を開講中です。2024年度受講生募集中。概要・申込みはこちらから

目次

インタビュー出演者(登場人物)

怜菜

怜菜:石倉怜菜(いしくられな)
福井県在住フードビジネスコーディネーター。栄養教諭やカフェ開業の経験を活かして、地元の食材を使ったレシピ開発やメニュー開発に携わる。五感で楽しむ食体験やコラボ企画を取り入れることが得意。

富士子社長

富士子社長:谷口富士子(たにぐちふじこ)
「谷口屋」代表取締役社長。3代目社長・谷口誠さんとともに、代々続く「谷口屋」の歴史と伝統を受け継ぎながら、新境地を開拓。工場拡張、レストラン運営などに携わり、2020年に社長に就任。

弘晃さん

弘晃さん:谷口弘晃(たにぐちひろあき)
「谷口屋」広報部部長。調理師専門学校卒業後、カナダにて海外で通用する日本料理を学ぶ。帰国後、約3年間営業の仕事に就き家業に従事。全国の催事やイベント出店などを通じ、福井の油揚げ文化を広げている。

インタビュー(対談形式)

谷口屋の代表取締役の谷口富士子社長と広報部部長の谷口弘晃さんのインタビュー内容を記事にしてみました。

福井のお揚げの原点を知る

怜菜

まずは福井の油揚げ文化はなぜ生まれたのか。その誕生について教えてください。

弘晃さん

油揚げは中国から伝わり、江戸時代に日本全国へ普及したといわれています。中でも福井県は、浄土真宗の信仰が厚い地域でした。浄土真宗では「報恩講」という催事があります。親鸞聖人の話を聞き、精進料理を食べる風習です。一般的に、精進料理とは質素なものですが、「報恩講」で食べる「報恩講料理」は、豪勢にすべきというルールがあったんです。

怜菜

見た目が豪勢ということですか?

弘晃さん

はい。親鸞聖人を表す料理を質素にしてはいけないという習わしがありました。それぞれの素材にも意味があり、里芋の煮ころがしは、親鸞聖人が枕にしていた石の代わり、ごぼうは杖の代わり、油揚げはお袈裟の代わりとして出されていたんです。

怜菜

大きな油揚げは、仏教が由来だったんですね!

弘晃さん

例えば京都の浄土真宗が盛んな地域では、お袈裟に見立てて作られている90cmほどの長い油揚げがあります。福井は、どう豪勢にしようかと試行錯誤を重ねた結果、「正方形の分厚いものでお皿からはみ出る揚げ」を豪勢だと考えたようです。そこから手間ひまかけた大きな厚揚げ、油揚げを出すのが通例となっていきました。

怜菜

そういった歴史的背景から、福井県ではお揚げ文化が活発になったんですね。

弘晃さん

統計調査によると、油揚げの消費金額が昭和38年の調査以来61年連続で1位。福井の人は油揚げを「ごちそう」と捉え、お金をかけてきました。今でもその流れがずっと続いており、油揚げを主菜または主役とする文化が生成されています。つまり、肉の代わりです。福井県民の家庭の冷蔵庫を覗くと、油揚げ、厚揚げ、薄揚げなど、さまざまな種類の揚げが常備されています。スーパーの油揚げコーナーは、他県と比べ豊富な種類の油揚げが揃っています。

職人「揚げ師」の技、谷口屋のこだわり

怜菜

この大きな油揚げ、揚げるのにどれほどの時間がかかるのですか?

弘晃さん

約1時間です。薄揚げだと25~30分ほどです。

石倉さん

えー!!そんなにかかるんですか?

弘晃さん

そうですね、おそらく、皆さんの想像以上に油揚げは手間がかかっています。だからレストランでの提供はすごく難しいんです。注文を受けてから揚げるまでに1時間待ってもらうわけにはいかないので、揚げ専門の「揚げ師」が、その都度フライヤーや火の元の特性を判断して調整しながら揚げていきます。時間をずらしながら次々入れるので、すごく頭を使います。マニュアルだけではできない作業です。

富士子社長

生地もひとつひとつ違うので、揚げ師の力量が大きく関わっています。火加減も都度みないと、いい商品ができません。

怜菜

とても繊細なんですね。フライヤーの中で揚げ方が変わるんですか?

弘晃さん

1時間の中に20手順、45工程があります。最初は木綿豆腐のような状態で、そこから、浮かしたり沈めたりする作業を繰り返し、温度を上げたり下げたり、さらに表にしたり裏に返したり……。揚げ師の技を駆使して揚げていきます。

怜菜

手間ひまと時間がかかっているからこそ、中までふわふわなんですね。ちなみに1日何枚くらい揚げているのですか?

弘晃さん

多いときで3500枚。職人一人で800枚揚げます。

怜菜

それはすごい数ですね。

富士子社長

でも油揚げを揚げるのって楽しいんですよね。揚がるまでに1時間かかるんですが、休憩時間がきて「交代します」と言われても「変わりたくない」って思う揚げ師さんもいるほど!

弘晃さん

一日8時間揚げても飽きないほど楽しいんです。

怜菜

そんなに楽しいとは!「谷口屋」さんでは、皆さん楽しんでお仕事をされているんですね。それでは、改めて「谷口屋」のお揚げの魅力を教えてください。

富士子社長

揚げる方法だけでなく、もちろん素材にもしっかりとこだわっています。しかし、素材が同じでも作り手の「おいしく作りたい」という思いがないと当店のお揚げはできません。その昔、まだまだ豆腐屋が多い時代、私たちは常日頃から新鮮でおいしい油揚げを食べていました。その頃と同じような商品をお客さまに届けたいと日々精進しています。

弘晃さん

特にレストランで提供している油揚げは、正真正銘の揚げたてです。皮の食感と質感とジューシーさ。この3つを味わえることが他にはない最大の魅力ですね。

本物の油揚げのおいしさをいつか世界へ 

怜菜

最後に今後の展望を聞かせてください。

富士子社長

当店の始まりは、私の主人の祖父が始めた豆腐屋です。ここ丸岡町竹田の土地で作る谷口屋のお揚げは「竹田の油あげ」と呼ばれ、地域の皆さまから長年愛されてきました。今、会社がここまで大きくなれたのは、全て支持してくださるお客さまのおかげです。

怜菜

パッケージに「竹田の油あげ」「谷口屋の、おあげ」と書いてあるのはそういう背景があったんですね。

富士子社長

当店は自然豊かな山の中にあります。お客さんから「ここに来ると、疲れが癒される」という話をよく聞きます。これからも幸せを感じられるようなお店づくりをしていきたいです。また、20年ほど前に、「油揚げを全国へ」という目標を掲げ、現在ようやく県外に広まってきています。日本全国はもとより、世界中に広げていきたいですね。

弘晃さん

やはり、揚げたてのおいしさをもっと感じていただきたいというのが一番です。社長が先述したとおり、昔は全国に油揚げを作る豆腐屋さんがたくさんありました。今のコンビニの数ほどだったと聞いています。しかし現在、そういったお店はどんどん減り、揚げたてを食べられる機会は少なくなっています。今後も積極的にテレビ番組などのメディアで、「揚げたての油揚げを食べられるお店=谷口屋」を伝えていきたいです。

最後に

谷口屋さんの油揚げに対する姿勢は、熱く情熱的でした。油揚げの誕生の歴史も出来上がるまでの工程もとても奥が深く、取材後にいただいたレストランの油揚げがより一層おいしく感じました。

伝統を守ることだけでなく、油揚げの本物の味と福井の食文化を、全国、世界へと発信し続ける谷口屋さんの挑戦はまだまだ広がっていくでしょう。「谷口屋の、おあげ」が大きく花開く未来が、楽しみです!

谷口屋/福井県坂井市丸岡町上竹田37−26−1 0776-67-2202 HPはこちらから

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