こんにちは。フードプロデューサーの平山友美です。
旅の醍醐味といえば、日本各地の郷土料理やご当地グルメ探訪です。伝統料理や地方の美味を知ると、地域の魅力がより鮮明に伝わってきます。そんなご当地の「食」を求めて向かったのは、徳島県の「祖谷（いや）」エリアです。日本三大秘境のひとつ、「祖谷（いや）」では、絶景や温泉を満喫するのはもちろんのこと、ここでしか食べられない郷土料理も楽しめます。
今回は、「祖谷」で堪能した食体験を、たっぷりとご紹介します。
- 徳島県の「祖谷（いや）」について知りたい
- 祖谷峡、祖谷のかずら橋を訪れてみたい
- 祖谷でしか食べられない祖谷グルメに興味がある
という方にピッタリな内容です。
ぜひご覧ください。
絶対訪れたいディスティネーションスポット！徳島県の秘境・祖谷
徳島の大自然に触れるディープな秘境の地
徳島の秘境、祖谷は「四国のへそ」と呼ばれる徳島県の西端・三好市にあります。道路幅が狭い山道を車で走ると、1000m級の山々と祖谷川が織りなす美しい景色が見えてきます。グルグルと続く山道に、少々戸惑う場面もありますが、到着すると、まさに秘境という名にぴったりの美しい大自然が眼下に広がります。
深いV字型の祖谷渓谷では、四季折々の景観が楽しめます。取材日は、秋の手前。茜色づく木々とエメラルドグリーンの祖谷川のコントラストは、息をのむほどの美しさでした。
スリル満点！祖谷のかずら橋
祖谷系地域を訪れたら、必ず訪れたいのが、国指定重要有形民俗文化財である「祖谷のかずら橋」です。秘境ムード満点の吊り橋は、国内外の旅行者から人気を集めています。橋は、シラクチカズラという植物を編みこんで作られています。起源は諸説ありますが、源平合戦に敗れ、祖谷に逃げ込んだ平家の落人が、敵が攻め込んできても、いつでも切り落とせるようにと作ったといわれています。
長さ約45ｍ、高さは約14ｍ。下を向けば谷底が丸見え！実際に渡ってみると橋はゆらゆらと揺れます。足場となる木の間隔が広いので、スリリングな体験を楽しめます。高所恐怖症の人は要注意ですが、ゆっくりと前を向いて歩いて渡り切れば、達成感もひとしお。ヒールのある靴では、足元が不安定になるため、スニーカーを履いて訪れることをおすすめします。
祖谷で楽しむご当地グルメ
祖谷には、この地でしか味わえない郷土の名物料理があります。祖谷渓散策とともに、ぜひ絶品グルメも楽しんでみてください。
地元蕎麦粉の手打ち麺！祖谷のソウルフード祖谷そば
まずは、お蕎麦をいただきましょう。「祖谷そば」と呼ばれる、祖谷地域独特の郷土料理は、祖谷地方で収穫されたそば粉で作られた蕎麦を指します。祖谷渓沿いにいくつかお店が立ち並んでいますが、今回訪れたのは、「清流のそば処 祖谷美人」です。
宿に併設されている同店は、食事だけの利用も可能。「祖谷そば」をはじめ、その他「祖谷」を代表するさまざまま食を楽しめるお食事スポットです。店内での飲食もいいですが、天気のよい日はぜひ、祖谷渓を眺められるテラス席へ。大自然の中、祖谷グルメを存分に味わえます。
山菜、山かけなど、さまざまな蕎麦メニューの中から、「ぼけあげそば(1200円）」をオーダー。香ばしく焼き甘辛く煮た大歩危（おおぼけ）産の大きな油揚げが大胆にトッピングされています。
つなぎを使わず「太くて短い」のが「祖谷そば」の主な特徴ですが、こちらの蕎麦は、のど越しのいい平麺で、祖谷そば初心者にも食べやすくアレンジされています。自家製粉の手打ちそばから漂うのは、清らかな香り高さ。優しい味のお出汁が、心身に染みわたるホッとする味わいです。
卓上の徳島産すだち七味をかけて、香りと味の変化を楽しむのもおすすめです。お揚げのジュワッとした感触に、ピリリと効く七味がよくあいます。
テラス席から見えるのは、祖谷の絶景。そしてザァザァと流れる祖谷川の音。自然に囲まれながら五感で楽しむ祖谷そば、まさにここでしか味わえない食体験です。ぜひ、訪れてみてくださいね。
祖谷特産と味噌がコラボ！見た目もかわいいでこまわし
祖谷地方の名物で、もうひとつ外せないのが「でこまわし」と呼ばれる郷土料理です。「でこまわし」とは、そば団子、祖谷のじゃがいも、岩豆腐、こんにゃくなどを串にさして味噌ダレをつけ、囲炉裏で焼いたものを指します。祖谷のかずら橋へ向かう途中には、いくつか「でこまわし」を提供するお店が立ち並んでいます。
「でごまわし」の他にも、川魚や季節の野菜などが、囲炉裏のまわりにずらり！食欲をそそる香りがあちこちに漂います。「でこまわし」という名は、徳島の伝統芸能「阿波の人形浄瑠璃」の「人形（でこ）」に似ていることから、ついたとか。確かに、お人形のようにもみえる愛らしい見た目です。
お邪魔したのは、「祖谷のかずら橋」を渡ってすぐ左にある「いこい食堂」です。こちらの「でこまわし（400円）」は、じゃがいもと豆腐、こんにゃくが１本の串に刺さっています。合わせて、渓流地域ならではの、鮎とあめごもいただきました。
味噌がたっぷりと塗られた「でこまわし」は、炭火で焼かれた香ばしさも相まって、濃厚なコク深さがあります。どっしりとボリュームもあり、具材の味や食感もそれぞれ楽しめるのもポイントです。祖谷地域に古くから伝わる岩豆腐は、しっかり固め。じゃがいもも、こんにゃくも、祖谷の特産品です。また、こちらは、祖谷川のすぐそばに面しているため、渓谷の大自然がさらに「おいしさ」を引き立ててくれます。祖谷の名物を一度に楽しめる、徳島の郷土料理です。
最後に
日本有数の秘境と言われる徳島県の祖谷地方。かずら橋を渡るワイルドな冒険も楽しめ、地域の暮らしが伺える郷土料理も盛りだくさんでした。渓谷というお米をつくることができないエリアだからこそ生まれた、蕎麦、豆腐、こんにゃくなど、先人の知恵が詰まったご当地グルメを、ぜひ観光で訪れた際に味わってみてくださいね。
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