江田島市商工会とアバンセとの新商品開発事業をプロデュースするにあたり、「バイヤーによる現地視察」を実施しました。
2025年12月4日、江田島市内の事業者を一日かけて巡る視察ツアーを実施しました。島の食材を自分の目で見て、生産者と直接対話し、新商品のヒントを探る──。その視察の様子をレポートします。
てくてくのさつまいも本舗(大柿町柿浦)── 無農薬さつまいもスイーツの専門店
視察のスタートは、集合場所でもある「てくてくのさつまいも本舗」。江田島育ちの無農薬さつまいもを100%使用したスイーツ専門店です。

看板商品の「芋あんの二重焼き」をはじめ、「皮ごとすいーとぽてと」「ぽてとぱい」など、さつまいもの自然な甘みを活かしたスイーツがずらり。併設する「てくてくベーカリー」では、さつまいもの天然酵母で焼き上げるパンを約50種類用意しており、イートインスペースではモーニングも楽しめます。

バイヤーの皆さんには、まず製造場を視察いただきました。新商品の製造工程も間近で見ていただき、素材のこだわりや製法について意見交換を行いました。

濱口醤油(大柿町柿浦)── 天保年間創業、島の老舗醤油蔵
続いて訪れたのは天保年間(1830年代)に創業した「濱口醤油」です。広島県内でも数少なくなった醤油専業メーカー。

現在は六代目が切り盛りするこの醤油蔵では、50〜60種類もの醤油・調味料を製造しています。看板商品は本醸造の「玉萬寿(たまます)」や、全国醤油品評会で受賞歴を持つ「おさしみ甘露醤油」。とりわけ人気なのが万能調味料「愛情料理 これ一本」で、一本で煮付けや照り焼き、きんぴらなど和食の味付けが決まるというヒット商品です。

広島市内をはじめ150店以上の飲食店がこの醤油を使用しており、実は知らずに味わっていた方も多いかもしれません。明治時代に築かれたレンガ壁が残る製造場を見学しながら、バイヤーの皆さんは伝統の醸造技術に感銘を受けていました。

鯛雅(大柿町大原)── 坪希旅館プロデュースの鯛めし製造直売所
次の視察先は、坪希旅館が直営する鯛めし製造直売所「鯛雅」。スーパー藤三大柿店の敷地内にあり、冷凍鯛めし「ふくふく鯛めし」の製造販売を行っています。

鯛雅はこの新商品開発プロジェクトにおいても重要な事業者の一つ。製造場を視察しながら、新商品の可能性についてバイヤーと意見を交わしました。

Shirasuya e’s(能美町中町)── 牡蠣屋の娘が生んだ万能調味料KAKIJAN
続いて訪れたのは、江田島の創作家庭料理ダイニングバー「Shirasuya e’s(シラスヤ イーズ)」。牡蠣やいわし漁を営む家業に育った店主が、地産地消をコンセプトに営むお店です。

ここで注目したいのが、オリジナル商品「KAKIJAN(かきじゃん)」。江田島産の上質な牡蠣を原材料に、レモンやハーブ、オリーブオイルを使って仕上げた牡蠣のリエット(ペースト)です。野菜スティックやバゲットにつけても、パスタに混ぜても、お肉やお魚の隠し味にしても使える万能調味料として人気を集めています。
バイヤーの皆さんにはKAKIJANの製造場を見学いただき、商品の特長や活用方法について理解を深めていただきました。

江田島オリーブファクトリー(大柿町大君)── 搾油場見学とランチ
午前の視察を終え、ランチ会場として訪れたのが「江田島オリーブファクトリー」。廃校となった旧大君小学校の敷地に建てられた、オリーブの栽培・加工・販売・レストランまでを一体で行う6次化複合施設です。

広島県産オリーブ100%のエクストラバージンオリーブオイル「安芸の島の実」は、世界的なコンテストでも高い評価を受けているブランド。搾油場を窓越しに見学できるショップも併設されています。
バイヤーの皆さんは搾油の工程を見学した後、レストランで江田島産の食材をふんだんに使ったランチを堪能。オリーブオイルをかけ放題で楽しめるスタイルに、新たなメニュー開発のインスピレーションを得ていたようです。

坪希旅館(沖美町美能)── 新商品に向けた商談
午後は、新商品開発の核となる事業者との商談です。まず訪れたのは、沖美町美能にある「坪希旅館」。先ほど視察した「鯛雅」を直営する旅館で、瀬戸内の食材を活かした料理で定評があります。

この場では、新商品の方向性についてじっくりと商談を行いました。旅館の食材知識と調理技術を活かした商品開発に向けて、具体的な話が進みました。

寺本水産(沖美町美能)── 新商品に向けた商談
視察最後の訪問先は「寺本水産」。こちらも新商品開発の重要なパートナーです。

江田島の豊かな海が育む水産物を扱う寺本水産との商談では、素材の特性や加工の可能性について掘り下げた議論が行われました。バイヤーの視点から見た商品ラベルの提案もあり、充実した時間となりました。
七宝丸(江田島海鮮工房)── 島の魚を加工し、届ける
視察の最後に訪れたのは、江田島海鮮工房「七宝丸」の製造場です。

七宝丸は、江田島出身の店主・坪木さんが「島が活気づくきっかけになれば」という想いで立ち上げた事業。広島市内で海鮮居酒屋を展開する一方、島内では海沿いのテイクアウトカフェ「ハジマリノテラス」や製造場を構え、江田島で水揚げされた魚介類の加工・販売に力を入れています。
製造場では、天然鯛を使った鯛めしや白身魚のフライ、江田島産牡蠣と島の野菜をオリーブオイルで仕上げたアヒージョなど、島の食材を活かした加工品を一貫して手がけています。漁師から直接仕入れた鮮魚を、水揚げ後すぐに下処理・加工し急速冷凍することで、鮮度と旨みを閉じ込めるのがこだわりです。
バイヤーの皆さんは、加工の現場を見学しながら、島の水産資源を商品として届ける仕組みに大きな関心を寄せていました。

まとめ ── 島の食の魅力を、新商品へつなぐ一日
朝9時から夕方まで、江田島市内7カ所を巡った視察ツアー。さつまいもスイーツ、天保年間から続く醤油、鯛めし、牡蠣の万能調味料、オリーブオイル、そして瀬戸内の水産物と、江田島の食の多彩さを凝縮した一日となりました。
バイヤーの皆さんが実際に生産現場を訪れ、作り手の想いに触れたことは、この後に続く新商品開発の大きな原動力になっています。
視察を経て誕生した新商品の試食会の模様は、後の記事でご紹介します。

