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比婆牛の新しい可能性を探る!比婆牛尽くしの特別ディナー会レポート

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 みなさん、こんにちは。フードプロデューサーの平山友美です。

 海と山に囲まれた広島県の肥沃な大地から生まれる、滋味あふれる数々の食材。なかでも、広島ブランド和牛のひとつ「比婆牛」は、頭数が少なく、県外にはなかなか出回ることがない、希少価値の高い和牛として知られています。

 その比婆牛の認知再向上や魅力発信を強化すべく、「比婆牛特別ディナー会」が2024年3月1日に開催されました。当日は、広島の経営者10名、食の発信者2名、総勢12名が参加。「G7広島サミット」でも振舞われた広島が誇る比婆牛の魅力、そしてこの日のために用意された比婆牛尽くしのコース内容をレポートします。

比婆牛とは、4種ある広島和牛のうち、広島県の北部・庄原市で生まれた日本最古の蔓牛(つるうし)のひとつ「岩倉蔓(いわくらづる)」の血統を有する黒毛和牛の牛肉。庄原生まれ、広島育ち、肉質3等級以上の血統牛を指す。

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  • 広島県の比婆牛について知りたい
  • 比婆牛の活用推進に興味がある
  • 比婆牛の今後の可能性について知りたい

こんな方にぴったりな内容です。

ぜひ、ご覧ください。

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目次

煌びやかで豪華!舞台は広島の食の新境地「Parfum de Lune」

 会場となったのは、煌びやかな門と月を模したモニュメントが目を惹く、中央通り沿いの「Parfum de Lune(パファム ドゥ ルンヌ)」。2022年9月に「多様性」をテーマにオープンした同店は、カフェレストラン、個室で堪能する本格フレンチやアフタヌーンティー、サラダデリのテイクアウト、会員制サロンなど、6つの要素で構成されています。

 フレンチからイタリアン、和食に至るまで、各ジャンルに精通した6人のシェフが在籍し新しい食体験を提供する同店は、まさに比婆牛の新しいカタチを提案するディナー会にぴったりの場所です。それでは早速、当日の様子をハイライトでお届けしましょう!

ミニセミナーで比婆牛への理解を深める

 料理に先立ち、比婆牛に長く携わってこられた広島県農林水産局畜産家課長・小川寛大さんより、県の比婆牛施策に関するお話がありました。

 「県畜産課では、広島和牛を軸にしたおもてなしに力をいれています。特に、広島にしかない歴史ある比婆牛を市場トップクラスのブランドにする施策を推進中です。また、比婆牛の特徴である、さらっとした脂、しっかりとした味の赤身を、科学的根拠で解明する取り組みも進めています」と、小川課長。

「皆様の広島を表現するアイテムの1つに比婆牛を加えていただけたら」と締めくくられた挨拶には、比婆牛の生まれ故郷である庄原市出身の小川課長ならではの、強い思いがこもっていました。

 続いて、食の世界でそれぞれに活動する2人からのミニ講和。

 まずは、僭越ながら、県内外の食を軸にした企画や商品開発などに多数携わる専門家として、私から挨拶をさせていただきました。庄原市においては、約10年前から食事業のプロデュースを担っています。

 比婆牛の歴史を学んで味わう料理は、ひと味もふた味も違う体験になるはずです。
 そんな思いから「昔から庄原市では、牛は、たたら製鉄や農耕に欠かせない存在として、家族のごとく大切に扱われてきました。今後ぜひ、庄原にステイして比婆牛の里を体験してみてください」と皆さんにお伝えしました。

 庄原市で開催した、比婆牛の魅力再発見ツアーを、ぜひ参考にしてみてください。

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 当日の料理を担当したのは、「Parfum de Lune」のガストロミー部門を統括する石田詠司シェフです。石田シェフは、「大阪あべの辻調理技術研究所」で西洋料理を学んだ後、「リーガロイヤルホテル広島」でキャリアをスタート。フレンチを中心に長年研鑽を積んだ広島を代表する腕利きの料理人です。昨今では、「G7広島サミット」にて、報道関係者の事務所となった国際メディアセンターで、3000人以上の各国報道陣へ料理を振舞われました。日頃から、四季折々の滋味溢れる野菜や芳醇な旬の食材を使用し、多彩な調理法で素材本来の旨みや味わいを引き出しています。

サプライズ演出もあり!比婆牛トークに花が咲く

 期待感の高まる中、いよいよ比婆牛の5つの部位を使ったフルコース饗宴の幕開けです。料理がおいしいと、会話も弾みます。ワインを傾けながら至高の一皿に舌鼓をうつゲストの皆さん。

 比婆牛トークも弾みます。食に関して高い感度を持つゲストの皆さんは、ただ「おいしい」を味わうだけではありません。比婆牛の可能性や広島の食文化発信についてディスカッションする様子が印象的でした。それにしても皆さんいい顔をしています。

 ディナーの途中には、プチイベントも開催。皆さんに手渡されたのは、「MUFA」という脂肪酸を入れた2種のアンプルです。くちどけの指標とされる「MUFA」は、比婆牛の脂に多く含まれており、そのとろける肉質に深く関わっています。

 アンプルの一方は、「MUFA」値が高いもの、もう一方は低いもの。

 掌で軽く握ると、写真左のアンプルの脂肪がすぐに溶け始めました。一方、右のアンプルの中身は固形のまま。比婆牛のレベルの高さが一目瞭然です。

 頭数が少なく、幻の和牛とも呼ばれる比婆牛。このたびの比婆牛フルコースに出合える機会はなかなかありません。しかし、ここが問題点でもあるのです。多くの人に食べてもらうためには、頭数の確保が必要です。そのため県では、体外受精技術を駆使し、比婆牛の頭数増強と流通改革に取り組んでいるのだとか。県内外で、カジュアルに比婆牛を食べられる未来は、すぐそこに来ているのかもしれません。

比婆牛のみで構成された至高の贅沢フルコース

 注目すべきコースは、全ての皿に比婆牛が使われた、まさに比婆牛尽くしのスペシャルな内容でした。部位の特徴ごとに調理法や味付けに趣向を凝らした全5品を、じっくりとご紹介しましょう。

とうがらしのたたき 安芸高田孫野菜農園野菜のサラダと共に 川中醤油とディジョンマスタードのドレッシングで

 一皿目は、牛の肩甲骨付近からとれる希少部位「トウガラシ」をタタキにし、野菜とともにいただく前菜です。「トウラガラシ」は赤身の旨味が強く、噛めば噛むほど濃厚な味が楽しめます。
 「最初は比婆牛だけを食べる、その後はマスタードを付けて食べる、そして野菜と一緒に食べる」とシェフに提案された通りの順番で食べてみると、都度異なる味わいを楽しめました。付け合わせの野菜、味と量ともに絶妙なバランス。冷製で食べる比婆牛は、噛むたびに肉そのものの味が分かることを再認識しました。

リブロース〜しゃぶしゃぶに見立てて〜

 サーロインと並んで高級部位として知られるリブロースは、しゃぶしゃぶ仕立てに。添えられた白ネギや春菊などの野菜とのバランスが良く、見た目も華やかなひと皿でした。比婆牛は、主役を引き立てる名脇役という役目も担える和牛だと改めて感じることができました。

すじ肉を使ったダブルコンソメスープ

 3皿目は、ミンチにしたすじ肉を8時間かけ出汁をとり、さらに翌日、その出汁を8時間かけてミンチと一緒に煮込み、計2回の工程を得てコンソメにした、肉の旨みが凝縮されたスープです。
 見た目はシンプルながらも感動のスープ! コンソメスープは、大変手間のかかるスープです。家庭用に「コンソメ」が広く浸透し、コンソメはスープの素のように思われていますが、本来は「澄んだスープ」を意味します。素ではなくて、完成されたスープのことなのです。シェフが通常の2倍、手間をかけて作ったダブルコンソメは、スプーン 1 杯いただくごとに、このうえない特別感がありました。

三角バラの軽い白ワイン煮込み 安芸津芋のピューレと共に

 肉の煮込みといえば赤ワインが主流ですが、比婆牛の味をより引き立たせるため白ワイン煮込みで提供された4皿目。見た目はステーキのようでしたが「飲める!」と感じるほど、柔らかく仕上がっていました。安芸津のじゃがいもピューレも、比婆牛との相性抜群でした。

ロースのグリエ ジュ・ド・ブッフ 吉和山葵のソース 孫野菜農園 旬野菜のフリットを添えて

 脂身の強いロースをわさびでさっぱりといただいた最後のひと皿。「そろそろお腹いっぱいになった」と思った頃にサーブされましたが、すんなりと胃の中に入る火入れは、熟練シェフだからこそ成せる技です。付け合わせの中に「ふきのとう」のフリットがあり、ほろ苦さが最後の締めにぴったりでした。食べ終わった後にしばらく余韻を楽しめる、不思議なお料理でした。

ゲスト大絶賛!広島から羽ばたく比婆牛の未来

 おいしく楽しい時間は、あっという間です。全ての料理に比婆牛が使われた前代未聞のスペシャルディナー会は、大盛況で終わりを迎えました。

 「牛肉だけを使ったフルコースは初の試みだった」と石田シェフ。

 「僕の仕事には、生産者さんとお客さまの架け橋のような役目があると思っています。今回のディナーは、生産者の方が何年もかけて育てた比婆牛を使わせていただきました。僕は常日頃から、過度な味付けはせず、シンプルに素材のそのものの味を生かす調理法を大切にしています。今日も、おいしくお客さまに食していただけたなら嬉しいですね」

 比婆牛独自の個性を生かし、その発展に寄与するインスピレーションを与えていただいた石田シェフに、大いなる拍手を!

 比婆牛が持つくちどけの良さと甘みの強さを生かし、クリエイション溢れる美味に昇華させ、比婆牛の新しい可能性に試みた今回の「比婆牛特別ディナー会」。テーブルのあちこちから「おいしい」という歓喜と驚きの声が聞こえていました。

「比婆牛は、甘みがあり食べややすいですね。サシの入りかたがきめ細かく味わい深いですが、食べやすく胃もたれしません。圧倒的な肉質を持つ牛だと思いました」と、ふりかけの老舗メーカー「田中食品」の代表取締役社長、田中孝幸さん。

 「広島和牛全般にも共通していますが、特に比婆牛は赤身と脂身のバランスが素晴らしいです。融点が低く、驚くほどあっさりしています。今日は改めて『おいしいな』と感じることができました」と、広島和牛の鉄板料理店などを営む「青ひげ株式会社」代表取締役社長の谷太輔さん。

 感動的な美味の数々とゲストからの称賛の声は、比婆牛のこれからの未来を明るく照らしている確固たる証拠です。広島はもとより、全国、そして海外へと飛び立つであろう比婆牛が、末永く愛される存在になってほしいと願ってやみません。

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