いただきます!ぶちうま継承プロジェクト 第5弾~瀬戸内の食文化・竹原に伝わる郷土の味~
2025年(令和7年)12月6日(土)|竹原市・吉名地域交流センター
協賛:広島県遊技業防犯協力会連合会
主催:公益社団法人 青少年育成広島県民会議
「いただきます!ぶちうま継承プロジェクト」は、地域に伝わる「食」をみんなで味わいながら、そのおいしさを育んだ地域の歴史も学び、子どもたちの生きる力を伸ばすとともに、次の時代へ伝統文化を継承していく食育プロジェクトです。
第5弾となる今年度は、12月6日(土)に竹原市で開催。テーマは「じゃがいも掘り体験とはちみつ 『食』を支えてきた食べものを学ぼう」です。広島県内の小学生と保護者が参加し、快晴のもと充実した一日を過ごしました。
今回のナビゲーター・協力者のみなさん
現地ナビゲーターは、竹原界隈のことならこの方、山田智嗣さん。「竹原の食を考える会」の代表も務められ、食と酒、その文化にも精通されています。
じゃがいも掘り体験では「吉名じゃがいもプロジェクト」に携わる元矢和司さん、有田志穂さん、そして吉名学園の皆さんにお世話になりました。はちみつのお話と採蜜体験は、「自然」と「ミツバチ」と「人」に優しい蜂蜜屋「FUKUBEE(フクビー)」の福島大樹さん。じゃがいもの豆知識を学ぶミニレクチャーは、野菜ソムリエ・食育講師として経験豊富な大西真由美先生に担当していただきました。
100年の歴史を持つ「吉名じゃがいも」を掘る
心配していた天気は快晴。集まった子どもたちは、吉名学園の生徒・先生方と一緒に「吉名じゃがいもプロジェクト」のじゃがいも畑に向かいました。
元全農技術士官でもあり、吉名じゃがいもの歴史にも詳しい元矢和司さんから、興味深いお話を聞きました。
吉名のじゃがいもは、きめ細かく弾力があっておいしいと評判です。実は100年以上の歴史があり、かつては日本一高値を付けたこともあったそうです。しかし現在の生産量は全盛期の10分の1以下。「幻のじゃがいも」とも言われています。
せっかくのこの地の産物を失うわけにはいかないと立ち上がったのが「吉名じゃがいもプロジェクト」です。

吉名学園は竹原市吉名町にある義務教育学校で、この学園の生徒が育てたじゃがいもは市のふるさと納税の返礼品にもなっています。大人気で、この時期に収穫した約140キロのじゃがいもは、あっという間に受付終了となりました。
そんな吉名学園の生徒さんたちも一緒に、子供たちはいよいよじゃがいも掘りに挑戦。夢中になって掘り、大きくても小さくても宝物を掘り当てたような笑顔を見せてくれました。


クイズ形式で楽しく学ぶ「じゃがいもの豆知識」

収穫が終わったら調理室へ。大西真由美先生(通称「まみちゃん先生」)が、吉名のじゃがいもと他産地・多品種のじゃがいもの食べ比べのために、じゃがいもを蒸して準備してくれていました。
「日本で一番じゃがいもがとれるところは?」「じゃがいもは茎・葉っぱ・根っこ、どの部分を食べるの?」――知っているようで知らない、じゃがいもの豆知識をクイズ形式で学びました。すごく盛り上がりましたよ!

こうして学び、「知ること」がおいしさに変わります。この「ぶちうま継承プロジェクト」では、ただ楽しんで食べておしまいではなく、身近な食べ物についての知識を増やし、身に付く体験の場を提供しています。
蒸しじゃがいもの食べ比べ

蒸しただけのじゃがいもですが、これは「ふかし芋」という立派な料理です。じゃがいも本来の味をしっかり感じるにはピッタリの調理法。同じ「じゃがいも」でも品種や育った場所、育てた人が違うと味わいはまったく違うものになります。
ほくほくしている、ねっとりしている、甘みがある、みずみずしい……自分の感じたままを言葉にして残しておくと、この日に食べたじゃがいもが思い出の味になることでしょう。
みんなで作ったポテトサラダ&いも尽くしの昼食
味比べのあとは、みんなでポテトサラダ作り。まみちゃん先生のレシピは大人気で、収穫体験でお腹もぺこぺこの子どもたちは、もっと食べたいとおかわりする子もいました。
ポテトサラダは今やコンビニでも買える身近なおかずですが、本当は自分好みの具材と味付けで楽しんでもらいたい家庭料理のひとつ。一緒に参加したお父さん、お母さんと、ぜひおうちでも作ってみてくださいね。
全国のじゃがいも郷土料理でお昼ごはん
お待ちかねのお昼ごはんのメニューは、じゃがいもクイズで話題にした4県の郷土料理とさつまいもごはん、里芋入りの豚汁。まさに「いも尽くし」です!
全国の郷土料理の中から、じゃがいもと基本の調味料だけあればできる郷土料理を4品、食べてもらいました。




思った以上に子どもたちが「美味しい!」とおかわりしてくれました。特に意外だったのは、「いもなます」が一番人気だったこと。こんなシンプルで、映えないおかずなのに!?
蜂蜜のお勉強と採蜜体験

昼食の後は、蜂蜜のお勉強です。ここでも「勉強は嫌い」という子は一人もいませんでした。
蜂蜜がどうやってできるのか、ミツバチはどうやって蜜を運んでくるのか。学んだあとは、蜂の巣箱の中をのぞいてみました。初めて見るミツバチの世界に、ドキドキ、ワクワク。でも初めてなのは保護者の方も同じですね。こんな間近で蜂を見ることはなかなかありません。

採蜜体験
いよいよ、採蜜体験。1匹の蜂が小さな体で運んでくる蜜はわずかな量ですが、みんなで集めることで「たくさん」になります。竹原の里山に咲く花々の蜜が、こんなにおいしい蜂蜜に変わることも大きな発見でした。

身近な食材に宿る歴史と文化を体験する一日
今年度のぶちうま継承プロジェクトも、学びあり、楽しさあり、驚きと気づきありの盛りだくさんで、有意義な食育の時間になりました。
あえて、じゃがいも・蜂蜜という、ごく身近な食材を取り上げました。見た目の華やかさはないものの、そこには長い歴史があり、文化があります。誰がどうやって育てたものか、実際に自分で収穫してみる、味を付ける前はどんな味なのか。畑からキッチンを経て、食卓に届くまでのプロセスを体験するところに、たくさんの「ワクワク」が隠れていました。
最近は「お母さんの味は?」と聞かれて答えられない子どもが増えていると聞きます。レパートリーが少ない、いつも同じものだと「飽きた」と言われるそうです。でも悩むことはありません。旬のものを、身近にあるものを、ただ安全に、食べやすくすることが調理の基本なのです。
我が家のワンパターンに価値を見出せる、そんな子どもが育ってくれることを願っています。

