安芸高田の「夜叉うどん」と私の、ちょっとした縁
実は私、安芸高田市のご当地グルメ「夜叉うどん」の最初のポスター撮影を担当していました。もう10年以上前のことです。
これまで、ご当地グルメ的な新メニューの誕生にはわりと多く携わってきました。ただ、正直なところ、すでに消えてしまったメニューもたくさんあります。ご当地グルメブームの中で生まれては消えていくものを見てきた身としては、夜叉うどんには「これは続くだろうな」と感じていました。
神楽のまち・安芸高田市で、神楽の演目に登場する恐ろしい女の鬼「夜叉」にちなんで生まれた旨辛うどん。味噌ベースのスープに唐辛子の辛みを効かせ、豚肉と地元産の青ねぎをたっぷり乗せた一杯は、今では安芸高田市の公認グルメとして多くのファンに愛されています。あのとき撮影に関わった身としては、嬉しい限りです。

念願の工場見学へ。政之助商店のオイスターソース
そんな安芸高田市に、もうひとつ気になっていた場所がありました。
広島でとてもおすすめなオイスターソースを作っている「政之助商店」こと、楠原壜罐詰工業株式会社の吉田工場です。以前から「牡蠣食う研」でご一緒させていただく機会はあったのですが、なかなか工場まで伺うことができずにいました。
政之助商店の「広島オイスター」は、広島県産の春牡蠣と藻塩だけで作られた無添加・グルテンフリーのオイスターソースです。旨味成分がピークとなる2〜4月に収穫された春牡蠣を1本あたり約30個も使い、じっくり丁寧に煮出して濃縮したもの。料理王国100選では特別賞も受賞しています。
そんな商品がどんな環境で作られているのか、ずっと見てみたかったんです。

やっぱり自分の目で見る情報が一番だった
実際に工場を見学させていただいて、率直に「とーっても良かった」です。
ネットや資料で読む情報ももちろん参考にはなります。でも、実際に現場を歩いて、設備を見て、作業の流れを目にして、働いている方々の表情を見ると、文字だけでは伝わらないことがたくさんあることに改めて気づかされました。
衛生管理の徹底ぶり、原料へのこだわり、製造工程の丁寧さ。どれもホームページやパッケージの説明文だけでは実感できないものばかりでした。「自分の目で見る情報が一番だなぁ」と改めて思える瞬間が、何度もありました。
生産者・メーカーに伝えたい「工場見学」のすすめ
ここからは、取材を続ける中で常々感じていることをお伝えしたいと思います。
生産者さんやメーカーさんにはぜひ、見学コースを考えてほしいのです。「見学に来られた方を確実にファンにできるような体験」を設計しておくこと。これはとても大事なことだと思っています。
もちろん、見学を受け入れることは簡単なことではありません。普段は衛生管理を厳しくしている場所に一般の方を入れるのは、リスクもあります。工場長など案内する方の時間も取られます。準備にも手間がかかります。
それでも、実際に訪れたお客さんが「行って良かった」と感じた場所には、その後も優先的に足を運んでくれるようになります。リピーターになり、口コミで広めてくれ、商品を長く応援してくれる存在になるんです。
そもそも「見学がしたい」と言ってくださる時点で、その方のファン化するポテンシャルはかなり高い。わざわざ足を運んでくれるということは、すでに商品や会社に興味を持ってくれているということです。その気持ちに応える体験を用意しておくことが、長い目で見たときに大きな財産になるはずです。
明治30年の創業から125年以上の歴史を持つ楠原壜罐詰工業。その歩みと技術を肌で感じられる工場見学は、広島の食に関わるすべての方にとって、きっと価値のある体験になると思います。

政之助商店(楠原壜罐詰工業株式会社)基本情報
ブランド名: 政之助商店
会社名: 楠原壜罐詰工業株式会社
創業: 明治30年(1897年)
本社所在地: 広島県広島市西区中広町1-16-24
吉田工場所在地: 広島県安芸高田市吉田町相合1100
代表商品: 広島オイスター(牡蠣と藻塩のみ使用・無添加・グルテンフリー)
認証: FSSC22000(食品安全マネジメントシステム国際規格)
受賞歴: 料理王国100選2026 特別賞〈ローカルキング賞〉、調味料選手権「地域の味ベスト賞」
公式サイト: https://www.masanosuke.shop/


