「ビストロ」の名にぴったりなお店に出会った
尾道・向島にある「Bistro SIMA亭」さんへ行ってきました。

実はこのお店を訪れたのには、もうひとつの目的がありました。これからまさに取材に行こうとしていた横島ファームさんのお肉を、ここで最高の形で味わうことができたんです。
まず、前菜のリーフがおいしかった時点で「これは間違いない」と確信しました。地元の旬の食材を活かしたフレンチベースの料理は、一皿ずつ丁寧に手がけられていて、大満足のランチになりました。

そして何より、このお店の空気がとても良かった。「ビストロ」という名前がこれほどぴったり合うお店って、なかなかないと思います。
「何を食べたいか」で店を選んでいませんか?
ところで、皆さんはお店を訪ねるとき、どうやってお店を決めていますか?
「今日は何食べたい?」「何食べに行く?」
こんなふうに、食べるものでお店を決めることが多いのではないでしょうか。日本では、焼肉、寿司、イタリアン……と、料理のジャンルでお店を選ぶのがごく自然な流れです。
でも、海外に行くと少し違う場面に出会うことがあります。食べるもので決めるのではなく、「どう食べたいか」でお店を選ぶ文化があるんです。
ビストロ、ブラッスリー、レストラン。違いは「どう過ごすか」
フランスには、ビストロ、ブラッスリー、レストランといった飲食店のカテゴリがあります。これらの違いは、提供される料理のジャンルではなく、「そこでどんな時間を過ごすか」にあると私は考えています。
友人と、食事をしながらちょっとワインを飲んで、おしゃべりを楽しみたいときはビストロ。仕事仲間と共通の話題で盛り上がったり、家族で子供の学校の話をしたり。隣の席の人となんとなく会話が始まったりもする。ビストロはそういう場所です。
大人同士でちょっとした悩み相談をしたいとき、落ち着いた雰囲気の中でゆっくり話したいときはブラッスリー。そして、シェフ指名で「今月この人はどんな料理を出すのかな」と、料理仲間と学びに行くのがレストラン。
つまり、「誰と、どんなふうに食事をしたいか」で行く場所が決まる。料理の内容よりも、食事を通じてどんな時間を過ごしたいかが先にあるんです。

日本ではビストロとレストランの境界線があいまいな理由
ただ、今の日本ではビストロとレストランの定義があるようでない、というのが正直なところです。
料理の単価がお店の雰囲気を決めてしまうところがあって、高い店はかしこまった場所、安い店はカジュアルな場所、という構図が無意識のうちにできあがっています。でも本来、お店の雰囲気や過ごし方は、料理の価格で決まるものではないはずです。
この構図が、本当の意味で食卓を楽しい場所にできない原因のひとつになっているように感じます。「フレンチ=高い=かしこまる」というイメージが先行してしまうと、肩の力を抜いて食事を楽しむことが難しくなってしまいます。
SIMA亭が教えてくれた「食事とは、語らうこと」
その点、SIMA亭は期待以上にビストロらしいお店でした。
カウンターがメインの小さな店内。席数は12席ほど。だからこそ、料理を待つ間に自然と会話が生まれ、隣のお客さんとの距離感もちょうどいい。食事を「食べる行為」としてだけでなく、「語らう時間」として楽しめる空間がありました。
食事とは、食べることではなく、語らうこと。
SIMA亭での時間は、改めてそう思わせてくれるものでした。次にお店を選ぶとき、「何を食べたいか」ではなく「今日はどう食べたいか」で考えてみると、いつもの食事がちょっと変わるかもしれません。

Bistro SIMA亭 基本情報
店名: BISTRO SIMA亭(ビストロ シマテイ)
ジャンル: フレンチカフェ・ビストロ
所在地: 広島県尾道市向島町6032-1
電話番号: 0848-38-2790
営業時間: 11:30〜18:00(17:30 L.O.)/ランチタイム 15:00まで/15:00〜 テイクアウト&カフェ/第1・第3土曜日は13:00〜22:00(夜営業・アラカルトのみ)
定休日: 水曜日・第1第3日曜日
席数: 約12席(カウンター中心)
Instagram: @bistro_simatei


