店名のイメージを覆す、圧倒的な「ここでしか味わえない」体験
ずっと再訪したかった庄原市口和町の「よもぎCAFE」に、ようやく行くことができました。
「よもぎカフェ」という店名を聞くと、おそらく多くの方が、よもぎや山菜を使った素朴な和食が出てくるような、のどかなイメージを思い浮かべるのではないでしょうか。私も最初はそうでした。
ところが、実際に訪れると、そのイメージは心地よく裏切られます。
食材の質、その調理法、提供の仕方。すべてがトータルで「ここでしか味わえない」というオーラを放っていて、正直なところ、東京の一流レストランなら5万円以上のコースに匹敵するのではないかと感じるほどでした。

豚の放牧飼育から精肉加工まで、すべて自分たちの手で
よもぎCAFEの何がすごいかというと、食材のほとんどを自分たちで育て、採り、作っているという点です。
敷地内の広大な畑で有機野菜を栽培し、鶏を飼って新鮮な卵を確保し、山に入れば山菜やきのこを採る。さらには山水を利用したニジマスの養殖まで手がけています。
そして特に驚くのが、豚の放牧飼育です。日本ではまだまだ珍しい放牧飼育で、野山を自由に駆け回り、のびのびと育った豚を、精肉加工まで自分たちで手がけているんです。味噌や漬物などの加工品もすべて自家製。ここまで徹底したお店は、なかなかありません。
食材のマニアックで濃い話が好きな方には、間違いなく刺さると思います。

自分の店を持ちたい料理人にこそ、訪れてほしい場所
このお店を営んでいるのは、庄原市出身の姉妹。それぞれ県外で経験を積んだ後、2017年にUターンしてカフェをオープンしました。店内の家具や雑貨のほとんどが手作りで、空間全体に心地よいこだわりが行き届いています。
「ハイレベルなローカリズム」という言葉がぴったりなお店です。
地方で自分の店をやりたいと考えている料理人さんには、ぜひ一度訪れてみてほしい。食材の調達から調理、空間づくりまで、すべてを自分たちの手でコントロールする。その覚悟とクオリティの両方が、ここにはあります。
料理人が見ているのは「レシピ」ではなく「食材そのもの」
よもぎCAFEでの食事を通じて、改めて考えたことがあります。
私たちは家庭で料理をするとき、基本的に「レシピ」ありきで考えます。「今日は何を作ろうかな」と思ったとき、最初に見るのはレシピサイトや料理本。完成図をイメージしてから食材を揃える、という流れが一般的です。
でも、私がインタビュー取材で訪ねて行く料理人さんたちは、まったく逆のアプローチをしています。まず食材を見て、その食材が持つ力を感じ取ってから、どう調理するかを考えるんです。
だから、彼らの料理には「名前」がないことがほとんどです。レシピが先にあるのではなく、目の前の食材との対話から料理が生まれる。名前は、お客さんにイメージしてもらいやすいように、後から頑張って考えてくれているもの。レシピも、「教えて」と言われるから、わざわざ言語化してくれているだけなのです。
本当に知るべきはレシピじゃない
SNSやレシピサイトが充実した今、レシピは簡単に手に入るようになりました。でも、レシピだけでは伝わらないものがあります。
なぜこの食材を選んだのか。なぜこの切り方をするのか。なぜこの温度で火を入れるのか。その判断の根っこにあるのは、食材をどれだけ深く理解しているかということ。レシピはその結果を言葉にしたものであって、料理の本質そのものではありません。
よもぎCAFEで出される料理は、まさにその「レシピの手前にあるもの」で成り立っています。畑で育てた野菜を見て、山で採れたきのこを見て、今日の豚の状態を見て、それからどう料理するかを考える。その積み重ねが、「ここでしか食べられない一皿」になっているんです。
本当に知るべきは、レシピじゃない。食材をどう見るか、という眼差しの方なんだと、改めて思った週末でした。

よもぎCAFE 基本情報
店名: よもぎcafe(よもぎカフェ)
所在地: 広島県庄原市口和町宮内285
電話番号: 080-4174-7851(予約専用)
営業時間: 11:30〜16:00頃
定休日: 不定休
メニュー: 季節のおまかせコース(要予約)
特徴: 自家栽培の有機野菜、放牧飼育の豚、自家製加工品(味噌・漬物など)、養鶏、ニジマス養殖。食材のほぼすべてを自分たちで生産
公式サイト: https://yomogi-cafe.jp/


