ジャーナリスト・宮崎園子さんの「公開取材」がおもしろかった
広島を拠点に活動するフリーランスジャーナリストの宮崎園子さんによる「公開取材」に参加してきました。
宮崎さんは元朝日新聞記者で、19年間の記者生活を経て2021年にフリーランスへ転身。広島を拠点に取材・執筆活動を続けている方です。JBpressでのコラム連載やYahoo!ニュースエキスパートオーサーとしても活躍されています。
正直なところ、お名前を聞いたときはすぐにピンとこなかったんです。でも、過去の記事を調べてみたら、広島県の「みんなで創るひろしまブランド」のページで私のことを取材してくださった方でした。あの記事を書いてくださったのが宮崎さんだったとは。

「公開取材」という形式自体がとても新鮮でした。通常、取材は記者と取材対象者が一対一で行うもの。それをオープンにして、参加者がリアルタイムで取材の過程を見られるというスタイルは、ジャーナリズムの透明性という意味でも興味深い試みだと思います。
ゲストの山根さんとTJ Hiroshimaの話
この日のゲストは山根さんで、広島の老舗タウン情報誌「TJ Hiroshima」にまつわるお話を聞くことができました。1977年創刊のTJ Hiroshimaは、来年で創刊50周年を迎える広島を代表するタウン情報誌です。
地方の雑誌がどんどん姿を消していく中で、50年続いてきた地域メディアの歩みを当事者から聞けたのは、とても貴重な体験でした。紙媒体の厳しい現状や、それでも地域に根差した情報を届け続ける意義について、さまざまな話を聞くことができて、めちゃくちゃ楽しかったです。
食材ピアスの話と「料理を教えたいわけではない」という想い
宮崎さんにも、この日ご一緒した方にも「ピアスが印象的でした」と声をかけていただきました。
今は封印されてしまったかのような「食材ピアス」ですが、実はまだ大事に保管しています。あれには、ちゃんとした理由がありました。
テレビの料理コーナーに出演していた頃、私がいちばん伝えたかったのは「料理の作り方」ではなく「食材の魅力」でした。でも、テレビの料理コーナーに立つと、どうしても「料理を教える先生」として見られてしまう。その認識を変えたくて考えたのが、食材モチーフのピアスだったんです。
ピアスなら料理をする手の邪魔にならないし、顔のアップでは必ず映る。テレビをつければ、その日の主役の食材がピアスで分かるように。そう考えて、作家さんにオーダーして作ってもらっていました。
今はテレビの料理コーナー自体がなくなってしまい、出番はなくなりましたが、あの工夫は自分なりの「見える化」の手法でした。

「くるみ」という学びの場で、おにぎりを食べながら
今回の会場は、いつも応援してくださっている「くるみ」さん。最初はレンタルキッチンとしての一面しか見えていなかったのですが、「文化的なことも含めて学びの場にしたい」というオーナーさんの言葉にとても共感しました。
手づくりのおにぎりをもぐもぐ食べながら、楽しい話を聞ける。そんな場所が街の中にあることの豊かさは、オンラインでは代替できないものだと思います。
おにぎりの具には、尾道の北前亭さんの味付ちりめんが入っていました。創業200年以上の歴史を持つ福利物産が手がける北前亭の味付ちりめんは、広島土産としても人気の高い逸品です。ただ、原料となるちりめん(イワシの稚魚)が近年獲れなくなっているという深刻な問題に直面しています。これも「語らいの食卓」を脅かすゆゆしき問題です・・・
テレビも雑誌も消えていく時代に、残したいもの
昨日の話で雑誌がどんどんなくなっていくという現実を聞き、テレビの料理コーナーも消え、そしてこれで学びの場までオンライン化してしまったら……。語らいの食卓さえも消えてしまうのではないか。そんな危機感を持っています。
情報はあふれているのに、信じられる媒体がなかったり。観るものはたくさんあるのに、見ても心に残らなかったり。学ぶことはたくさんあるのに、書き残すことをしなかったり。食べるものはたくさんあるのに、過度に加工されたものばかり食べてしまったり。
便利になればなるほど、本質的な部分が薄れていく感覚があります。
くるみさんで、手づくりのおにぎりを食べながら、目の前で繰り広げられる公開取材を聞く。その体験の中にこそ、情報の信頼性、食の安心感、人とのつながり、学びの実感……今の時代に必要なものが全部詰まっていたように思います。
そういう日を、一日でも多く。そういう場を、ひとつでも多く。できるだけ増やしていきたいと思う今日この頃です。



